ピカソとクレーの生きた時代

カテゴリー: 美術

東京、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムの展示会、『20世紀のはじまり・ピカソとクレーの生きた時代』を観てきた。
ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館所蔵の展示会だ。
ヴェストファーレンはドイツのドルトムント等の方だとか。
今回の展示会は、ヴェストファーレン州立美術館の改修工事に伴うものでもあり、Bunkamura20周年記念企画という事らしい。

目当てはクレーだ。
20年近く前、クレーを扱ったカレンダーを観て以来、その色彩に魅了された。

金曜日は21時までやっているので、会社帰りに行く事にした。
当日は東京でも雪の予報が出る程の寒い日だった。
仕事が終わって、渋谷に直行。
雪は降っていなかったが、冷たい雨が降り注ぐ。
震える思いで美術館にたどり着いた。

コインロッカーに荷物を預け、観賞。
行った時には、学芸員(だと思う)による解説、ギャラリートークが行われていた。
聴きたいところだったが、ギャラリートークで人が集まっているのでその間は少ない人の中で観賞出来ると判断し、ギャラリートークは断念した。

展示されている絵画は57点。
『章』という形で分類されている。
まずは、第1章の『表現主義的傾向の展開』、から。
それぞれの章についての解説が章の最初に書かれているので、それを読んでから観賞すると理解が深まる。

最初は、かのマティスから。
他にブラックやシャガールなどの10点。
マックス・ベックマンの『夜』に強い印象が残る。
現実に行われた行為なのかと思うと、おぞましい気持ちになる。

他、アウグスト・マッケの『フリブール大聖堂、スイス』が印象に残った。

シャガールは2点展示されていた。
他の画家もそうなのだが、同じ画家の作品が複数展示されている場合、異なる印象の作品が展示されていた。

第2章は『キュビズム的傾向の展開』。
ここでピカソが登場。
ピカソの作品は全部で6点ほど。
その中で、分析的キュビズムからその発展の総合的キュビズム、さらにキュビズムを離れた作品を観ることが出来る。
チラシにも掲載されているが、やはりピカソの『ひじかけ椅子に座る女』が典型的なキュビズムではないが印象に残る。

第3章は『シュルレアリスム的傾向の展開』。
カルロ・カッラの『西から来た少女』などの典型的なものもあれば、ジュルジュ・モランディの『静物(青い花瓶)』のようなセザンヌの絵を元に描かれたものも。
ルネ・マグリットの『とてつもない日々』が印象に残る。
他、ジョアン・ミロなど。

第4章は目当ての『カンディンスキーとクレーの展開』だ。
当日に知ったのだが、やはり好きなカンディンスキーが観られるとは思っていなかったので、得した気分だ。

最初にカンディンスキーの3作品。
力強い印象の絵でカンディンスキーの絵としては意外に感じる。

そしてクレー。
1914〜1938年の全部で27作品。
様々な表現で、色々な色彩を見せてくれる。
クレーと言えば色彩、だが、今回展示された作品の全体的な印象は暖色系が多いように思った。
偉大な画家にたいしての言葉としてはおこがましいが、兎に角色の使い方が上手いと思ってしまう。
色彩とはなんたるかを教えてくれているかのようだ。
また、色彩のない、鉛筆のみで描かれた作品なども。

展示された作品は1点1点が様々な表現で描かれており、次々観ていくと楽しい気分になっていく。
クレーが辛い状況下でも、それを感じさせない作品もあった。

クレーと言えば淡い色遣い、と思っていたが『黒い領主』や『明暗の研究(画架-ランプ)』などの黒を主体とした作品などは意外に感じるが、どれも印象に残る。
また『宝物』などクレーならではのかわいらしい作品も。
しかし、楽しい気分で流れに沿って観ていったところ、クレーの感情が爆発したかのような『危険なこと』で強い衝撃を受ける。

絵の全体が、ほぼ太く黒い線と赤で表現されているのだが、その赤が業火のようにも見え観ていて息苦しさを感じた。
楽しい思いで観ていたものが一気に萎えてしまった。
その後に見事な色彩の『婦人と流行』も観られたのだが、『危険なこと』の印象があまりにも強すぎた。
『危険なこと』が無ければ、楽しい気分で終わったかな、と思う。

見終わった後、ショップへ。
今使っている『ゲルニカ』のマグカップに替わるものが欲しかったが、好みに合わず断念。
2,200円の図録のみ買った。

図録は絵柄のみにニスが引かれているのだが、実際の作品はワニスが目立つ作品ではないのでニスは違和感を感じる。
印刷汚れの問題があるのかもしれないが、ニスは余計だ。
もし絵を目立たせる効果というのなら、とんだお門違いだ。

全体を通して言えるのは、作品に変化があり楽しめる。
また、クレーの作品を観ると色の勉強になるだろう。
2009/01/11(日) 00:59 | trackback(0) | comment(0)
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